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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

読書感想文

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

 

二冊目はこちら。

人生で初めて村上春樹を読破した(教科書に短編が載っていたかもしれないが)。

 

元々読書家の家族も村上春樹は何を言いたいのかわからない、遠回しすぎるなどという理由で彼の著作を好まなかった。

そういうどちらかと言うとネガティブな意見を聞き、さらに教科書の短編をちらっと読んでよくわからなかった経験もあり、彼の作品は今まで手を付ける気にはなれなかった。

 

彼の新たな小説が発表され、世間を賑わせている。

ニュースやドキュメンタリーで特集される世の中の熱狂ぶりに触発され、少し興味を持った。

その矢先、たまたま家族とこの騒ぎについて話していると父が本棚からまだ定価カードも抜いていないこの本を取り出してきたのだ。

 

ほぼ新品のその本を買ったはいいものの、彼の文章は口に合わず読むことを放棄していたらしい。

 

最初の1ページ目を理解するのに通常の3倍の時間を要した。

彼の抽象的な文章は自分にも合わないのではないか、と思った。

 

気がつけば吸い寄せられていた。

難解な表現は何度も読み返す必要があり、決してスラスラと読めたわけではない。

常に頭をフル回転で使わないといけなかったし、読んでいて疲れたのも事実だ。

 

しかし村上氏が描く人間の内的・精神的世界や的確な比喩表現は自分の心にすっと馴染んだ。気取った言葉遣いや表現が心地よかった。

文体やセリフは日常生活とは異なっており、浮世離れした印象を受けた。

しかし描かれている内容は等身大の人間の悩みであり、私達が生きる現実世界そのものだった。

今まで読んだ小説の中で一番性的表現が多かったが、しかしそれは人間の心の内面を映し出すには必要不可欠な要素だからだろう。

 

ハルキストの気持ちが少しわかった。

 

同時に彼の著作を中学生時代に読まなくてよかったと思った。

間違いなく厨二病を加速させる。

 

大学生が読んでもそれはそれで大二病になりそうだけれど。

ともかくある程度自己の価値観が形成されてから読むべきだと考える。

 

100%この世界観に影響されると世間から疎まれる人間になると思う。

 

別の村上作品も読んでみたい。

ハルキストにはならないと思うが。

 

追記:下記のリンクを貼り付けるために検索したところ、解説書まで沢山出てきてびっくりした。こんな作家現代にもいたんだ。知らない世界だ。

 

 

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫)